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「沢田……先輩……」
「大成?」
大成がブツブツ呟きながら、眉間に皺を寄せて何やら考え込んでいる。
「あの、さ。今のナシ! そうだ、オレ服が見たかったんだよな!」
取り繕うようにそう言ってどこかオレが入れそうな服屋が無いかとキョロキョロしていると、大成がオレの手をガッシリと掴んできた。
「椎馬……行こう」
「へ? 行くってどこへ?」
「ラブホ……」
大成の口から『ラブホ』の単語が出た事に驚いていると、大成がオレの手を掴んだまま早足で歩き出す。
「え、でも、大成はいいのか?」
「椎馬が行きたいなら……行く」
そりゃ、行きたいと言い出したのはオレだけどさ。
何だか無理に付き合わせたみたいで申し訳なく思いながらも、前を歩く大成にラブホの場所を教えてオレも先を急いだ。
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