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辿り着いた建物は茶色い壁の細長いビル。
パッと見は普通の建物だが、看板にピンクでホテル名が書いてある。
大きな通りから少し外れた場所にあるからか、ホテルの周りに人通りは無い。
「マジで入るの? 引き返すなら今だぞ、大成!」
「入る……」
「え、ちょっと待って」
半ば引き摺られるようにホテルの入り口を通りフロント前に行くと、そこにはカウンターはあるが誰も居ない。
壁一面には部屋の写真のパネルが並び、『お好きな部屋を選んでボタンを押してください』と説明書きがある。
「自動精算……だって」
パネルに見とれていたオレに、大成が精算機を指差しながら声を掛けてきた。
フロントに人が居たら未成年だとバレて追い出されるかと思ったけど。
そうか、だから沢田先輩は『男同士でも入れる』って言ってたのか。
チラリと隣に立つ大成に視線を向ける。
大成はこの身長だからオレより年上に見えるし、未成年だと解らないかもな。
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