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「いらっしゃいませ。ご注文お伺いします。」
「いつもの、ひとつ。」
「ブレンドコーヒーですね?畏まりました。」
常連客から注文を受けた俺は、厨房のマスターに伝える。
「マスター。ブレンドコーヒーひとつお願いします。」
「了解。真山くん、下川くんが上がる時間過ぎてるから、声掛けてくれる?」
「はい。」
ここは、街中にあるカフェ「ゆかふぇ」。
名前の由来は、マスターの奥さんの名前から来ている。
俺、真山 弦(まやま ゆずる)は、高校の時からここでバイトをしていて、大学に進学してからも続けている。
大学は、実家からは少し遠くて、一人暮らしをしている。ここのバイトも遠くなってしまったけど、居心地が良くて、辞められなかった。
「…………下川、マスターが時間過ぎてるから、上がれって。」
カウンターで、食器乾燥機から乾いた食器類を片付けている下川に、マスターから頼まれたことを伝える。
「…………もう、そんな時間?」
「うん。」
「……分かった。」
そう言いながらも、片付ける手を止めない下川の横顔を、じっと見た。
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