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トクン、トクンと聞こえる鼓動。 すぐ傍にいるのは、交渉相手でしかない1人の男。 ―――むず痒い……。 自然と私の肌に触れ、優しく温かいその腕で包んでくれる。 恋愛とは、きっとこういうものだった。 相手を思いやり、温もりを与え合うもの。 ただ以前と違うのは、この温もりを与えてくれる相手が偽物であるという事。 偽りだけど、紛い物じゃない。 この肌に触れる温もりは、間違いなく本物だった。 誰かが与えてくれるその温もりを求め、いつかまた、私は再び恋愛する事ができるようになるのか……――――――
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