第1章

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それは いつもと同じ日常 よしみは、いつもと同じように、仕事に行くために車を走らせていた いつもの渋滞ポイントで、今日も信号待ち 何かあったわけでは無いが ふと よしみは、自分の左胸に触った すると、胸の上の方に米粒より小さな固まりがあった そんな小さな固まりなのに、何故か服の上からでもハッキリと分かった しかし 以前にも、それくらいのシコリが出来て、いつの間にか消えていた なんて事が何度かあったので、今度も 『どうせすぐに無くなるだろう』 と、よしみはあまり気にしなかった ところが 数ヶ月経ってもシコリは消えることはなかった 無くなるどころかみるみる大きくなっていき 1年も経たないうちに500円玉ぐらい大きさになってしまった 『悪性』 そんな言葉が、よしみの頭をよぎったが 治療となると、時間も、お金も、かかる その上、保険に入ってなかったよしみは 『ものすごいお金が、かかるだろう』 と、考えた 何よりも、自分が『ガンだ』なんて知るのが怖かったのだ 固まりは、500円玉ぐらいまでは、勢いよく大きくなったが、そこからは大きくなる気配が無かったので 『大丈夫だろう』 と、その言葉を無理やり頭の隅に追いやった
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