第1章

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初めてシコリを見つけた時から、数年の時が経った 母親も、家事を少しづつ自分でやるようになったが、まだ1人では買い物にも行かない その年の春 ずっと変化の無かったシコリが、デコボコした感じになってきてるのによしみは、気付いた しかし 仕事の休みは、ほとんど無く、仕事以外の時間は、母親の運転手役で疲れきっていたよしみは 『病院に行く時間あったら、寝ていたい』 それが正直な気持ちだった 夏頃には、胸のシコリが増えてきて 脇の下にもシコリが出来た 『これは、もう間違いないだろう』 そう確信したよしみだが、まだ病院に行くのを迷っていた 『このまま病院に行かずに、死ぬまで黙っていようか』 そんな事も考えていたが 忙しい仕事と、母親の面倒に追われているうちに 仕事からも、母親からも『逃げたい』 病気になれば、そんな日々から解放される 『私が病気になれば、母も自分の事は、自分でやる気になるかも』 『仕事を続ける事が出来なくなるかも』 そう考えてしまうほど、よしみは疲れ果てていた そして 仕事の休みと、母親の病院に行く日がたまたま重なったので 『ついでにちょっと診てもらう』 くらいの気楽な気持ちで病院に行く事にした
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