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ゾンビがいた。
それはホラー映画やバトルアクションマンガなどで使い古されたゾンビとは少し違う、細菌兵器や黒魔術により出来上がった半死体ではなく、どちらかと言えば人間の上位種のような立場や能力を持っていた。
ゾンビと言われていたのは、よく描かれるゾンビに近い身体能力や生命力があったからで死体が蘇ったリビングデッドなどのようなものではなく、僕が生まれた時には既に認知されごく自然に存在していたらしい。
親に聞いても「さあ?」、先生に聞いても「発生源は不明らしい」としか教えられることなく、ただただ人間とは「身体能力が違う」らしいと教えられ、同時に少しばかり人間とは「食する物が違う」と教えられてきた。
察しの通りそのゾンビらしき物が捕食するものは所謂「人間」、別に生きていなくてもいいらしいが、どちらかと言えば新鮮なものを好む傾向にあるらしく、人間にある種味覚が近いのだろうか。
教科書には特別人間しか食せないわけではなく、僕たち人間と同じく植物や食肉でも栄養補給は可能であり同じような味を感じるらしいが、彼らにとっては人間こそ快楽を得ることができるという。
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