一の話 上位種

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「なあこれからどっかよらねー?」 「俺部活あるからやめとくわ」 そんな会話がクラスメートの間で交わされている中、黙々と帰りの準備を進める。 入学してまだ四日目なのに既にちらほらグループが確立しつつあるのはどこの高校でも同じなのだろうか、まだ誰とも大した会話をしていない自分に少し焦りを感じてしまう。 そもそも会話の発端ってなんなんだ。 オーソドックスに「次の授業なんだっけ?」とか? いやいや親しくもないのにちょっと馴れ馴れしいだろう、そういうのは友人間で交わす会話だ。 「美術室ってどこだっけ?」とかいいんだろうか、まだ各教室覚えてないしこれが一番違和感がない会話に思えるが何故か疑問符のついた問いかけしか浮かばない。 ……部活か! 部活の新人同士でこそごく自然に仲良くなれるキッカケではないだろうか! 新人同士なら「先輩怖そうだよな」とかありふれた会話や疑問から違和感のないコミュニケーションがとれるではないか。 まあ、そもそも部活にはいる予定ないからこういうのは意味がないんだけど。 そんなこと考えつつ鞄に教科書を詰め、教室を後にした。
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