第1章

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――― それからさらに1時間 「お、終わった…」 「お疲れ様です」 「毎月焦らせて申し訳ないです」 「いいんですよ、締切さえ守って頂ければ」 校閲を終えて、それから数回校正もして 揃えた小説を鞄に大切に仕舞った 「清水先生は毎月書くごとに文章が面白くなっています。このまま頑張ってください」 「はい、ありがとうございます」 嬉しそうに笑う先生はまだまだ青年、って感じ まぁ人のことあんまり言えないけど なんだろう、私と違って擦れてないところがカワイイ。 「それじゃ、ゆっくり休んでください また連絡します」 「お気をつけて」 玄関先まで見送ってもらい、足早に地下鉄を目指す 太陽はすでに沈みかけている時間帯だ (今日こそは定時で上がれるか~って思ったのに!) ハッキリ言います 今まで定時で上がったことは 片手で数えられるくらいしかございません。 ま、いっかぁ… 大切な原稿が入った鞄を抱きしめて、ホクホクとした気持ちで私は会社へと戻るのだった
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