第1章

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「失礼しまーす」 誰もいないであろう資料室 電気はつくものの 冷房設備しかないこの部屋はいつだって寒い 何故か使われなくなったソファーとテーブルが部屋の隅にこじんまりと置いてあるのが入社当時からの私の疑問だ ―ドサッ 少し埃っぽいソファーに腰を下ろし、パラパラと渡された原稿を捲る 私はこの資料室が大好きだ。 というか本が大好き。 編集と言う仕事を選んだのも もちろんソレがキッカケ 大好きな小説を自らの手で世に送り出すことが出来る そんな夢のような仕事に 私は何としても就きたいと思った 入社して3年 まだまだ大きな仕事は任せてもらえない。 でも、幸せだった 大好きな文字に囲まれて、開けても暮れても頭の中は小説だらけ。 楽しくないなんて言う方がありえなかった
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