第2章

34/37
前へ
/163ページ
次へ
「まずここが恋愛小説部門。 やっぱりここは1番大きいね 次は推理・ミステリー部門 その次が歴史小説を扱っていて~……」 そんな感じで、 伊庭さんはこのフロアの端から端まで説明し しかもたまに手の空いている人を見つけては私を紹介してくれた 名刺持ってきてよかった… 「そんでここが応接室~ っていっても仕切りで仕切られてるだけだけどね うーん、ちょっと休憩しようか 座って待ってて」 「い、いえ!お茶なら私が!」 「いいからいいから」 案内された応接セットのソファーに座らされ近くの給湯室と思しき場所に消えた …まさかの事態に困惑気味なんですけど? 10分ほどすると 2人分のカップを持って伊庭さんが現れ私の前に腰を下ろした 「さて、初めての7F見学はどうだった?」 コーヒーを啜って腕を組んだ伊庭さん …私になにを聞きたいんだろう こういう探り合いみたいなことは嫌い だから全部正直に答えよう 「緊張しました。 ここで私が大好きな作家さんたちの本が作られていると思ったらドキドキします」 「小説は好き?」 「はい、大好きです。 本に触れるためにこの仕事に就いたようなものですから」 「そっか、いいことだね」
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加