第3章

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―――――― ―― あの不思議な伊庭さんとの出会いから数日 「おっ、如月さんお疲れ様!」 「瀬能さん、お疲れ様です」 「如月さん今度呑みに行こうね~」 「はい、お誘いありがとうございます!」 …と、まぁなぜかあの日名刺交換した人たちに 強く印象付けていただいたようで… 社内を歩いていたり食堂に行ったりすると こうして声をかけてもらったりしている 「…ね、ねぇ優香ちゃん7Fの人たちに何かしたの?」 「してませんよっ! ただ伊庭さんの紹介で名刺交換しただけで…」 実際名刺を交換したのはほんの数名 そこから広がり紹介の紹介って形で 後から挨拶をした人も何人かはいるけど… 美紀さんと食堂でお昼をとりながら 目を丸くしている彼女に説明 「ええっ?伊庭さんがみんなに紹介したの?」 「みんなにではないです。 手空きだった人たちにちょこっと…」 「それ、すっごいことよ?」 「…へっ?」 割と本気の声で美紀さんが言うので 思わず箸で掴んでいた鳥南蛮をお皿の上に落とした 「優香ちゃん伊庭さんの役職わかってる?」 伊庭さんの、役職…? あれ、まさか若手の小説部部長って………!? 「前に言わなかったっけ、34歳にして実力だけで部長まで上がった人がいるって……」 「………スミマセン、すっかり忘れてました…」 「まぁ私も直前に言わなかったからね」 あちゃー、と笑う美紀さん なんだろう他人事だからかあんまりやばそうじゃない…
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