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「伊庭さんは仕事にはほんっとストイックな人。
私の担当作家を伊庭さんが担当してくれるって決まったときはドッキリかと思ったくらいよ」
「それならなら美紀さんが渡しに行った方が良かったんじゃ…」
「…んー、実はね?
優香ちゃんの名前を出したのは向こうが最初なのよ」
「………ふえっ」
「ちょ、優香ちゃん出てる出てる」
なにそれ怖い。
「い、いやいやいやいや!
私なにかしました!?
え、新手の嫌がらせ!?
それとも遠まわしに辞めろと!?」
「待って。」
ちょっと気持ち悪いから、
なんて言いながらも自分のコーンスープを啜る美紀さん
「だって私伊庭さんの目に留まるようなこと何もしてませんし…」
「社長に褒められたじゃない」
「そのお話ですけど絶対編集長の勘違いだと思うんですけど…」
「あらどうして?」
「この間ロビーで社長を見かけたんですけど、凄く怖くって…
私みたいな一編集を褒める方だろうか、と…。」
「なるほどねぇ」
パスタの最後の一口を口に含んで
うーん、と暫し思案
美紀さんそんな姿もお美しい
「…ま、人の心なんて他人が考えてもわからないわよね。
あなたはあなたの仕事を全うしていれば、きっと誰かが見てくれてるわよ」
「至言…!」
「バカなこと言ってないで行くよ!
もうお昼終わっちゃうんだから」
「あ、待ってください!!」
トレーを持って立ち上がった美紀さんに
私も慌てて残りのご飯を口に突っ込む
追いかけるように立ち上がると
ふと美紀さんが足を止めて振り返った
「そうだ、いいこと教えてあげる。
伊庭さんはああやってヘラヘラ笑ってるけど
他人の得になるようなことは一切しない人よ
でも優香ちゃんを紹介した、ってことは
もしかしたら何か試しているのかもね?」
「た、試してるってナニをですか…;」
「さぁそれはなんでしょう?」
クスクス笑う美紀さん
ああ、その大事なトコ教えて!!!
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