第3章

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―カタカタカタカタ ―カタカタ -カタカt…… 「無理だ集中できない。」 なんだろう頭の中をいろんな人のいろんな言葉が飛び交っている 今日に限って集中できるような 校閲の仕事もないし ひたすらパソコンと睨めっこ あ、あゆちゃん先生の売り上げ伸びてる。 「如月~集中できないならおつかい行ってきて!」 「行きます行きます!」 原稿の最終チェックをしていた編集長から渡された書類 おっ、資料室行きか!? 「経理にコレ渡して、ついでに営業に今度のフェア(企画販売)の企画書渡してこい」 「……フェアの企画書?」 フェアって…フェアって!!! それって売れてる作家さんとか イチオシ!っていう作家さんの出版の時にやるやつじゃないの!? いや、ウチの雑誌も面白いけれど! 「ああ、今小説月花の売り上げ伸びてんだよ。 お前も知ってるだろ?」 「はい、毎月売り上げの記録は更新されています。 小説の総合誌としては 今ウチが社内1番かとは思いますが…」 「だから向こうが言ってきたんだよ。 ちょうどみんな手いっぱいの次期だったから とりあえず俺が企画書いた。 もし余裕あるなら如月、お前やってもいいぞ」 「…編集長の企画を使えと?」 「別に俺のじゃなくてもいいけど、ソレ今日までの期限だし とりあえずやってみるか、って感じのお試しだから今回はソレで我慢してくれ」 「い、いいえ! そういうことじゃなくて せっかくの編集長の企画を頂いていいのかと思いまして…」 「ブァーカ。 俺のを土台にしてお前がもっと改良して良くしていけ 如月は真面目だな、俺がお前ならこんないい土台はねぇって踏んで上がるけどな」 ケラケラ笑う編集長に 渡された企画に目を通す …初めてのフェアだ 「少し、時間を頂いてもいいですか? 自分できっちり理解してから 営業部に伺いたいので」 「おう!特に約束はしてねーから 今日中に行けばいいぞ。 ちなみに担当は吉川な」 「吉川さんですね、わかりました」 「頑張れよ如月」 「…はい!ありがとうございます!」
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