第3章

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まずは時間とらせたお礼から、だね 「伊庭さんお忙しい中 時間を割いていただいて申し訳ありません」 「ん、ええで。 俺如月ちゃんのこと気に入ったから なんでも教えたる」 気に入られるようなこと、しましたっけ? …まぁいいか 「実は今回ウチの小説月花でフェアをやることになったんですが」 「なんとなく聞いとるよ。 総合誌がフェアなんて異例やなー」 「はい。…それで恥ずかしながら今までフェアの企画をやったことがなく、今日企画書を出さなければいけないのですが…」 「企画書は出来てるん?」 「はい、編集長のですが 企画は私が進めるようにと」 「ほんならとりあえずコレに沿って 自分の意見言えるようにせなアカンな」 「そうしたいと思っています」 ふむふむ、と企画書に目を通し 伊庭さんは赤ペンを取り出した 「コレ、こういう風にする意味はわかる?」 そう言いながらペンでトントンと指したのは 簡単な絵で示されたフェアの図の上 「他の書籍や雑誌と区別し目立たせるように、ですか?」 「んー、半分正解。 目立たせて尚且つ雑誌の名前と出版社がわかるようにや。 でもこれじゃあちょっと大きすぎる もっと小さくせな店側に迷惑や。 逆にこっちのポップはもうちょい大きくてもええ、 ここには如月ちゃん自身が なんか書いたらええと思おうで」 「なるほど、雑誌の積み方とかはどうでしょうか」 「うーん、ええねんけど なんか在り来たりやな。 ここは如月ちゃんがよく考えたらいいんとちゃう? 普通の漫画とか書籍にはない 雑誌ならではの見せ方とかあるはずやし」 「わかりました」 伊庭さんの言葉を1字1句聞き漏らさぬよう 必死でメモを取る ああ、こんな経験滅多にできない!! 「…ま、あとは営業との勝負やな。 アイツら頭固いから口上手くならんとアカンで」 「営業部の人と話したことないんですが…」 「今回の担当誰か聞いた?」 「吉川さんです」 「……あ、ウン、当たり、かな…?」 「あからさまに目を逸らさないでください。難しい人ですね、わかります。」 「い、いやな!難しくはないねんけど難しいって言うか!」
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