第3章

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「すみません、5Fの小説月花の如月ですが吉川さんはいらっしゃいますか?」 営業部で見る限り唯一の女性に声をかける …決して男の人たちが仕事バリバリしすぎて怖かったわけじゃないもん 「吉川ですね、えぇっと…ああ、あそこで電話中です」 彼女の目線を辿ると、あ、あの人か。 窓際でこちらに背を向けながら 電話をしている男性 パリッとスーツを着こなす その広い背中からはヒシヒシと話しかけるなオーラが。 「それじゃ、頑張ってくださいね」 満面の笑みでグッと親指を立てる彼女 あ、今まで彼に泣かされた人たくさんいるんですね。わかります。 一応近づいて、電話が終わるのを待つ もういっそのことずっと電話しててくれないかな 「…ええ、ええ、それではそういうことで。失礼します」 アッ 電話終わるの?え、まだ心の準備が… 「お忙しい中すみません5F小説月花の如月です。 編集長からフェアの企画書を預かってきました 営業部吉川さんでお間違えないですか?」 もう営業スマイルで乗り切れ
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