第3章

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「こんな、ありきたりな企画書でよく営業部に持って来れましたねと言っているんです」 …いや、別に内容が 理解できなかったわけでは… 「申し訳ありません。 フェアは初めてでして どういったところを直せばいいのでしょうか」 だけどこれくらいで負けてはられない メモ帳を出してアドバイスを聞く体制に入る 下手に出て、なんとか少しでも聞き出したい 「…ハッ、自分で考える気もないのか」 ―バサッ 企画書をテーブルの上に投げ出し 吉川さんはきちっと背筋を伸ばしていたのを 背もたれにため息をつきながら寄りかかった …え、まじすか? 「自分の意見はまとめてきましたが 企画書がイチからやり直しなのであれば 吉川さんの意見をお伺いしてもよろしでしょうか」 割とカチンときたので メモ帳を置いてジッと彼の目を見て話す 「俺の意見を聞く前に自分で作り直して来いって言ってんだよ」 ため息とともに吐き出された言葉は 全く私の言葉を聞き入れてはもらえないもので。 企画書ってみんなで作り上げるものじゃないの? …私が甘いんだろうか 「…わかりました。 無知の私が作る企画書は 経験の豊富な編集長が作るものより劣ると思いますが 明日まで期限を延ばしていただけないでしょうか。 今やれることをやり またあなたに会いに来たいと思います」 「明日までに企画書作ると?」 「私はそう言いました。 ここに居る時間も無駄ですので お先に失礼します」 ガタっと席を立ちあがり テーブルに散らばった企画書をまとめる 「それではまた明日、お伺いします。 お時間の都合はありますか?」 「昼、11時までだ。」 「…わかりました、それではその時間までに」 軽く頭を下げて会議室を出る ……… アレ、私なんかやばいことやらかしちゃったんじゃね
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