第1章

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1DKの広くはない室内は いつ見ても本の山だと思う 本当にここで生活してるの?ってくらい 「で、先生どこまで書けたんですか?」 昨夜から連絡が取れなくなっていた 先生にずいっと近づけば 鋭い視線から逃れるように目を逸らされる 「…半分、以上は書けてるんですけどー…」 「半分以上?全部書けてないと意味ないんだけど?」 「……書きます。」 「ウム。出来てるのだけでもプリントして頂戴。ここで校閲しちゃうから」 「ハイ…」 大学4年生にして小説家デビューした清水先生は、最初こそ熱意に溢れていたものの今ではすっかり締切に追われてやつれた顔をしている ウチの会社のキャンペーンに応募してきた清水先生 未熟ながら光る原石を持っていると思った私は、すぐに本人に連絡を取った キャンペーンで目立った功績を残すことは出来なかったが、その後しばらくして小説月花でなんとか推理小説家としてデビューすることが決定した
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