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息を飲み込んで、反応するのも忘れていた。
、、、!!
、、、まさか。まさかあの時。
日本に、私の元に帰ってくるつもりだったの!?
「 “こんな風に彼女と終ってしまうなんて耐えられない” って」
、、、。
「だけどそんなことしたら仕事を捨てるのと同じだ。名誉あるフェローシップを失うだけでなく、哲をその立場に推してくれた人たちに迷惑がかかる。あとに続く者たちにも。だから気持ちはわかるけど、あと3ヶ月、いや1ヶ月だけ我慢しろって言ったんだよ」
えっ、、、。
「実験が終るのに1ヶ月、データを整理して論文を書くのに2ヶ月。そこまでいけば、論文の直しとかは世界のどこにいてもできるから」
そういうことだったの、、、
「それから1ヶ月、時々、哲、赤い目をして窓の外を見てた」
日本の方角じゃないかなと思ったんだ、とジャックは悲しそうに言った。
「無事に論文がジャーナル(学術専門誌)に載ることが決まった時、言ったんだ。今すぐ日本に行けよって。だけど」
「だけど?」
「もういいんだ、って」
え、、?
「この3ヶ月間、風呂だろうがベッドだろうが、どこに行くにも携帯を離さずにいたけど、一度も連絡が来なかった。、、、そういうことなんだよ、って辛そうに言ってた」
そんな、、、。
彼にさよならを言ったあの雪の日を思い出して、胸が苦しくなってくる。
あの時はそうするしかないんだと、そう思いこもうとしてたけれど。
ごめんなさい、哲、、、。
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