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その時、勢いよくホテルのドアが開いて冷気が流れ込んできた。
「七穂!」
息咳切って、こちらへ突進してくるのはもちろん、、、。
「いきなりいなくなるとか、、、何があったんだよ!」
「あの、」
「僕が悪いんだ」 ジャックが割って入った。
そして私の方を向いて携帯の画面を見せ、小声で「空港まで探しに行っちゃったんだって」 と告げた。
えええ、空港までっ!?
***
ジャックから簡単に説明を受けた哲、初めは唖然としてたが、途中から笑い出した。
「そんなっ、笑わないで、」
「悪かった。でも、いくらなんでもこいつは俺のタイプじゃないよ」
「だって女装してたときは綺麗だったし」
「嬉しいこと言ってくれるね」 ジャックがVサインを出す。
「怒って飛び出す前に俺に確認してくれよ、、、」
まいったなあという顔で哲が言った。
「ご、ごめん、、、」
「とにかく、もう行こう」
私の荷物を右手で持ち、左手で私の右手を取ると、私の返事も聞かずにエレベーターのほうへと大股で歩き出した。
「またな!」 とジャックに後ろ手で挨拶して。
「いいの?」
「いい。ヤツとは会おうと思えばまた会えるし」
そしてほとんど引きずるように私を引っ張っていって、あっという間に部屋の前へ。
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