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ドアをあけて部屋の中に入る。小走りさせられて暑くなってしまったので、コートを脱ごうと一歩前に踏み出した。
そのとたん。
ぐぃっと後ろから引っ張られて、次の瞬間には目の前いっぱいに哲の着ているセーターの網目がひろがっていた。
「もう突然いなくなるとか、勘弁してくれよ!」
「ご、」
お詫びの言葉は哲の唇に飲み込まれた。
キスは激しいのに優しく私の髪を梳くその刺激に、すぐになすがままにされ始める。
「ほんとに心配した。七穂、、」
掠れ声で名前を呼んだかと思うと、彼の唇は口の端から顎、首筋、耳の後ろと彷徨い始めた。
その間にもコート、ジャケット、と器用に私から服をはがしていく。
ああ、、、。
彼の唇はまるでろうそくのようだ。触れたところから次々に火を灯して、私の体を熱くしていく。
「んっ」
声が出そうになって、ここはまだドアのすぐ内側だと思い出した。
「ちょっと」
さすがに履いてたジーンズに手がかけられたので、そのがっしりした腕を押さえて抗議すると、「ダメか? 俺、もう待てない」 と懇願される。
「じゃなくてここじゃちょっと。それに汗ばんじゃったし」
それを聞くや否や、右手を掴まれて窓際にあるネコ足のバスタブまで連れていかれた。
窓の外はNYの夜景が広がり、クラクションや人のざわめきなど都会の音が聞こえてくる。
でも道路の反対側のビルの中にいる人の性別までわかるんですけど。
「丸見え、、、」
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