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「ほら機嫌直して」
哲が部屋にあるコーヒーメーカーで煎れたコーヒーをベッドサイドに持ってきてくれた。
ふわふわなまくらにうずめた顔を持ち上げる。
なにも身に着けてない湯上りの肌に、シーツのひんやりした肌触りが心地よくて、脚をすーと滑らせてみる。
「哲の、ヘ・ン・タ・イ!」
激しく反応しすぎて立ちあがるのもやっとだった私を、哲が丁寧に拭いてくれて、ベッドまで連れてきてくれたのだ。
あああ。10年ぶりなのに。
もっとこう、ベッドでお互いの目を見詰め合って、みたいなのを想像してたのに。
「いや、なんかあのネコ足のバスタブを見たら、いたずら心が沸いちゃってね」
いたずら、ってあなたは中学生ですか。
あ、中学生はこんなことしないか。
「でもキモチよかっただろ?」
ぷん、と横を向いた。悔しいがそれは認めざるを得ない。あんなに感じてしまったのは、ほんと初めてだ。
「初めから繋がってもいいけど、まずは七穂を感じさせたかったんだ」
私の態度にさすがに反省したか、ちょっと申し訳なさそうに哲が言う。
「だって以前は七穂、よく痛がってたじゃないか。ひさしぶりのソレが、痛いのから始まるのもどうかなあと思って、、、」
ああ、そういえば確かにそうだった。
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