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「まもなく飛行機は着陸態勢に入ります、、、」
窓の下に連なる背の高いNYのビル群も、この角度からだとまるで模型だ。
雲ひとつない金曜日の朝。
そういえば今日は13日だ。だから飛行機がすいているのか?
哲(てつ)はもう空港に迎えに来ているだろうか。
元彼だった哲とは、昨年末なんと10年ぶりに仕事がらみのパーティで東京で再会した。
やけぼっくいが大火事になり、燃え上がったまま彼の滞在してたホテルの部屋に行ったはいいものの、、、
その日私は生理になったばかりだった。
「手でしてあげる。それか口の方がいい?」
明らかに欲情している彼を見かねてそう言ったけど、「いいよ。添い寝してくれれば」 と私を抱きしめたまま眠ったクリスマスイブの夜。
でもその時、「帰国予定の8月まで待てない。バレンタインの週末に会いに来て」 と約束させられてしまった。
***
「2月半ばに3日間休みがほしいだと?」 不機嫌そうな編集長の声。
「アホか。どうせアメリカくんだりまで行くんなら、1週間行ってこい」
「あの、でもカラー入稿は」
「んなもの、奏に任せろ」
「大丈夫ですよ。俺も経験あるし」 デスクの片岡君がにこやかに言う。
、、、何の経験?
「環さん、NY行くなら買い物とかいろいろアドバイスしますぅー」
後輩の綾菜まで、私よりはしゃいでる。
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