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摩天楼にあるというからどんなでっかいご立派なホテルかと思いきや、、、
着いたのはこじんまりしたブティックホテルだった。
『いらっしゃいませ』
落ち着いた笑顔のコンシェルジェが出迎えてくれる。
『ウェルカムドリンクとクッキーをどうぞ』
直径12センチはあろうかという、マカデミアナッツ入りのクッキーにかぶりつく。
甘い。でもおいしい。
黒と白の大理石でまとめられたシックで落ち着いた感じのロビーで、フロントの人と話している哲を待つ。
「ここは部屋がひとつひとつ内装が違うんだ。俺の選んだのが七穂の好みにあうといいけど」
渡されたシャブリのグラスをそのまま持ってエレベータに乗りながら、部屋へ向かう。
「わあ」
哲が選んだのは、これまた黒と白を基調にしてるが、バーガンディー色のランプシェードや机がアクセントになっている大人テイストな部屋。
だが度肝を抜いたのは、、、。
NYのストリートを見下ろす窓際に、まるで家具か調度品のようにさりげなく置かれてあるこの物体。
白い陶器製の猫足のバスタブ!
「これって外から丸見えだ、、、」
後ろから人の気配がしたと思うと、ふわっと哲の匂いに包まれた。
「ほんと、会いたかった、、、」
「私も」
胸の前に組まれた彼の手に自分の手を重ねた、その時。
ブブーッと鈍い音がした。
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