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結局その店では一番無難そうな、それでも私にとっては “着てる自分が想像できません” な、薄いピンクのレースをたっぷりあしらった下着を買った。
「あ、きれい、、、」
ホテルへ帰る途中、公園があるのに気がついた。
真ん中に大きな噴水があるが、冬だからか、枯れている。
2月とはいえ風が凪いでいるせいか、あまり寒く感じない。
夕方の儚い日差しの中、長い影を足元に連れて行きかう人々。
犬を散歩させている女性、携帯で話している男性、ベビーカーを押すママ。
そして、手をつないで何やら囁きあう恋人たち。
いいなあ。
またあとでここに来ようかな。今度は哲を誘って。
寒くなってきたので、ホテルに急ぎ足で戻った。
そういえばもうミーティングは終ったのかな。
何気なくロビーの奥にあるバーに目をやる。
アシンメトリックな形のローテーブルが置かれたカッコいいバーだ。
あれ? 哲がいたような?
目を凝らして見る。
あれは、哲だ。
後姿だけど、わかる。
でも、あれは、、、!
心臓がどくん、と震えた。
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