抱き寄せてそしてキスをして

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*** さあ、これからどうしよう。 昂ぶった感情のままに出てきてしまったが、考えてみれば今晩泊まるところがない。 ここはNYなのだから、宿もちゃんとしたところでないと危険だ。 とりあえずさっきの公園まで戻り、ベンチに座った。 人通りも多くて安全そうだから。 連なる高層ビルの灯りが滲んで見える。 黒人の男性が向こう側に荷物をどさっと置くと、何かを取り出した。 あれは、トランペット? 吹き始めたのは、、、賛美歌で有名な『アメイジング・グレイス』だった。 その優しいメロディに、いつしか頬が濡れ始めていたとき。 「すみません」 アクセントのある日本語。 顔をあげると、哲と抱き合っていた女性だった。 っ! 「、、、やっと、見つけたー」 息を切らして彼女が言った。 荷物に手をかけ、立ち去ろうとすると、 「待って! あ、あの、ニホンゴ上手くないけど、ゴメンね?」 焦りながら彼女はそう言うと、「テツのGFでしょ?」 と付け足した。 それがわかってて、あんなことしたの!? ムッとして押し黙る。 「あなたがいなくなったって、テツがパニックしてた。どうしたの?」 私にそれを聞く? 「あなた、、、泣いてたの?」 驚いた声に、「あなたに関係ありません! 哲をよろしく!」 思いっきり皮肉っぽく言ってやった。
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