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薄くスライスしたイチゴを、綺麗に見えるように少しずつずらしながら重ねて盛りつけていく。
飾り切りも色々練習してみたけど、見た目より味と量を重視しそうな純平にはこれくらいの盛り付けが好まれそうな気がした。
果物ナイフを置くとそれで完成だと思ったのか、期待のこもったキラキラの目を向けられてたじろいだ。
「ご、ごめん……あとちょっとだから、ね?」
あとは生クリームを添えて、スライスしてないイチゴとミントを上に飾るだけだ。
時間にしたらすぐなんだけど、目の前にケーキがあるのに焦らされてるからか、純平はちょっと不満そうだった。
「やっぱり、出来てから呼べば良かったね……ごめん、待たせて」
ボールに生クリームの材料を入れ、手を止めないまま言った。
やっぱり迎えに行かないで、待ってる間に用意すれば良かったんだ。
馬鹿だな私、全然気付かなかった。
「や、別にいいよ見てるの面白いし。いつもこうやって作ってたんだなー」
「……まだイチゴ切ったとこしか見てないじゃない。チョコにイチゴ使ったことなんかないわよ今まで」
「ばーか、そういうことじゃなくて」
お日様みたいな顔で笑う純平は
「料理してっとこ。なんか、いーな」
……チョコレートよりも、甘い。
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