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「おーい。せっかく久々2人っきりだってのに、何浮かない顔してんだよ美紗!」
「っさいわね。純平は心配じゃないの!? なおのこと!」
「ぜーんぜん。あっちもどーせ今頃楽しんでるよ」
頭の後ろで両手を組んでにやにや笑いを浮かべたまま歩く純平の言葉に、カッと熱がさした。
楽しんで……って。
っていうか、『あっちも』って!
こ、こっちも楽しんでるみたいじゃない!
「ふ、不純! 不潔! やらしい! なおは受験で向こうに行ってるのよ!」
はじまった瞬間から遠距離恋愛だったあの子は、彼氏を追いかけて遠くの大学を受験することになった。
そして入試日程に合わせて、週末を絡めて3泊の予定で、今彼女は1人福岡へ行っている。
当然向こうでは先輩と会ったりもするんだろうけど……そのために行ってるわけじゃないのに!
「やらしいって何だよ。久しぶりに先輩とゆっくり会えるんだから楽しんでるだろって……美紗こそ」
と、目を細めた純平が、にやりと片方だけ口角を上げた。
「何考えてんの? やーらしー」
「……ッ!!」
わざとだわ。
絶っ対わざとだわ!
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