bitterなケーキに生クリーム添えて

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赤くなった顔を見られないように、必死に速足で歩く。 なのに体格差のせいか、私が3歩刻む間に2歩しか進まない純平との差は全然開かない。 余裕綽々で、鼻歌でも歌い出しそうなくらい機嫌良さそうなのがまた癪に障る。 「おーい、そんなカリカリすんなって。可愛い顔が台無しだぞ」 「うるさい! 可愛くないっ!」 はは、と楽しそうな笑いが聞こえた。 気付けばすぐ隣に並んでいた純平に、肩に乗せた手でくいっと引き寄せられる。 「ちょっと……」 覗きこむように身体を屈めた純平と、顔が一気に近付いた。 未だに慣れない……幼馴染みを超えた、恋人同士の距離に目が泳いだ。 「ん、可愛い。機嫌直せよ?」 ほっぺにキスでもしてきそうな至近距離で囁かれると、息がかかってぞくりとした。 「やっ馬鹿! こんなとこで!」 慌てて突き飛ばしたのに全然気にする様子もなく、 「どこならいいんだよ?」 ――って、もうほんっとに馬鹿! 「少なくともここじゃないわ!」 がちゃん、とわざと大きな音を立てて、玄関のドアを開けた。 こんな明るい内に誰がどこから見てるかも分からない往来でってだけでもあり得ないのに、自分の家の真ん前でなんていいわけないでしょうが!
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