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「家の中ならいいんだ? おっじゃまっしまーす!」
慣れたもので、スキップでもしそうな足取りで私よりも先に上がっていく。
この手の掛け合いではどうせ敵わない。
なんだかもう言い返すのも馬鹿らしくなって、口を噤んだ。
ただの幼馴染みじゃなくなった純平は思いの外グイグイ来るから、なんだか冷静じゃいられなくて。
掻き乱されて、いいように遊ばれてる気がして悔しい。
純平は、キスしたいとかもっと触れあいたいとかって気持ちを全然隠さないでストレートにぶつけてくる。
それが恥ずかしくて居たたまれなくて、どうしてもツンツンして素直じゃない態度になってしまうのは――、
14年っていう、幼馴染みとして過ごした長い歴史があるから尚更なんだと思う。
正直、別に嫌ではないけど……こそばゆいというか、照れ臭いというか。
1年近く付き合って未だキス止まりの私たち。
純平は多分、私の力が抜けるのを、待ってくれてるんだと思う。
口では何と言ってても、そこから先に強引に進もうとしたことは一度もない。
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