bitterなケーキに生クリーム添えて

純平に引っ張られたのか、私が屈んだのかよく分からない。

気が付いたらこつんと額が当たって、鼻先まで掠めそうな距離に、恥ずかしくて逃げ出したくなる。

「――キス、してい？」

「……聞かないでよそーゆーこと」

焦点が合わないくらい近いのに真っ直ぐ目を見てきいて来るから、いつもみたいに、撥ね退けられない。

ううん――、今、私が欲しいって思った。

唇に吸いつくように触れる、純平の感触。
優しさと温もりに、不安が溶けてなくなっていく。

ゆっくりと離れていってしまうのが切なく名残惜しく思った瞬間、啄ばむようにまた、音を立てて戻ってくる。

下唇を甘く噛まれて、包むように柔らかな感触に挟まれて。
その中でうごめくものに、つ、となぞられて。

「んっ」

変な声が漏れて、慌てて仰け反る。
な、舐められた！

体温が急上昇して、顔が赤くなったのが分かった。

目を直視出来ずに視線を下に逃がせば、純平は余韻を味わうようにちろりと舌を出して唇を舐めていた。