第1章

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親の会社が倒産して、生活が変わった 頑張って合格した大学は入学金が払えず、フリーターになってしまった 親が勝算のない新事業を始めて失敗し、会社諸共潰れ 残ったのは借金だけだった 「何が、良い大学に入らないと継がせないだよ。」 偉そうなことを言っておいて、自分たちは残った借金をそのままに夜逃げしやがった ほんの少しの金で、もう高校生じゃ無いんだから親に頼らないで、自力で何とかしろって言ってたけど、家もないのにどーしろってんだ 親の責任まで逃げるって最低だな 実入りの良い、できれば寮のある仕事を探さなければ 「奨学金を申し込んでいたら大学に行けたのかなぁ」 一人息子の航は、将来 親の会社を継ぐため経済の勉強をしようと大学を決めた 結構良い大学に合格したのに、まさか一晩でこんなにも人生設計がガタガタ崩れるとは思っていなかった まとまったお金も必要だし、高卒ではこのご時世にサラリーマンとして働くことは無理だと思い、辛いしキツいと思うけど、建築系の日払いで給料をくれる仕事を中心に探した 面接に行くといつも断られる 「もうちょっとガッシリしてないと仕事出来ないからねぇ」 「辛くてすぐ辞められても困るしねー」 確かに身長も167センチしかないし、筋肉はあまり付かない体質みたいだし、最近は勉強しかしていなかったから余計にひ弱に見える 今日、何回目かの溜息を吐く 「今日も漫喫で泊まるのか…残りのお金もそろそろヤバいや」 明日も仕事を探しても断られると思うと、憂鬱になる 「俺に向いてる仕事ってなんだろ」
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