また朝はくる 恭二&航

第2章

「もし、時間に余裕があるなら、航くんとお話したいなって思って」

すごく優しい声で、威圧のない話し方は今まで尖っていた神経を落ち着かせ、とても癒やされた

「洗濯物をたたみながらで良いなら話出来ますよ」

「ありがとう。俺も航くんと同じ年だから、敬語は使わないでね。」

あぁ刺が抜けていく

恭二が陸くんを好きなのは当たり前だな

仕事で疲れたときこの声で『お帰り』何て言われたら疲れなんて吹っ飛ぶね

そして、とても洗濯物をたたみながら聞けるような内容ではない話を聞いた

お父さんが仕事を失敗して、お母さんが離婚届を置き、下の子を連れて家を出てしまったこと、自分は何も聞かされず置いて行かれたこと、お父さんはショックなあまり自殺未遂をし、今も精神的に不安定なこと、でも借金は返していかなければいけなくて、男娼の仕事をしていたけど、ヒドいことをされて今、お休みしていることなど

「なんで、お父さんを捨てないの？そこまで助けることなくない？失敗して、自分勝手に自殺しようとして、陸くんのこと考えてないじゃん！」

「そうだよね。それは恭二にも言われたんだけど、俺、お父さんが好きなんだ。お母さんは弟ばかり可愛がっていたけど、お父さんは平等に、もしかしたらそれ以上に愛してくれたしね。だから、助けたい！」

「でもそれが身体を売ることなんて、やっぱり良くないよ。だって、斎藤久志でしょ！相手も良くないよ！」

「あははそうだね。初めてがアイツって言うのが最低だったよ」

「泣くほど嫌なら辞めろよ！」

「航くんも泣いてるよ」

ヒドい仕打ちをされても恨まない陸を何とか助けられないかと思った