episode-04

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 預かったプリントを手にそのまま午後の授業を出る気にもなれず、俺は学校をサボって電車に乗った。昼過ぎの下り電車はガラ空きで、7人掛けの長椅子に俺は一人腰を下ろした。同じように目の前に座っているスーツ姿のサラリーマンがうつらうつらと船を漕いでる。その背後に見える窓の外は薄暗い。もうすぐ雨が降るんだろう、重苦しい雲が立ち込めていて空が低く感じられた。  朝方まで眠れなかったせいで体がだるい。奥寺と昼休みに会えなかった事でがっかりしたけれど、学校以外で会える理由も出来た。とりあえずプリントをどうするかは家に帰ってから考えよう。そう思った矢先、ポケットの中でスマホが震えた。画面には奥寺からSNS経由のメッセージが届いた通知が表示されている。 液晶を指でゆっくりとなぞってそのメッセージを開いた。 奥寺 -ごめんキシロ、もう昼休み終わってるよな。今日学校休んだんだ。 -A組の奴に聞いた、忌引なんだろ。 既読 奥寺 -そう。 -プリント預かってるけど、どうすればいい? 既読  その後、しばらく反応が無かった。俺の書いたメッセージに既読の表示が出ているからおそらく読んではいるんだろう。あと2つで奥寺の家の最寄り駅という時に返事がきた。 奥寺 -今日俺んちくる? -葬式やってんじゃねーの? 既読 奥寺 -死んだじいちゃん北海道の人だから、家族みんな北海道に行って居ない。 -は?なんでお前は行かねーの? 既読 奥寺 -まー、色々あって。とにかくさ、学校帰り俺んち寄ってってくんね? -学校サボったから、もう電車乗って帰るとこ。 既読 奥寺 -マジか?いま何処よ? -奥寺んちの最寄り駅の一個手前 既読 奥寺 -え -あ、もう駅着くわ 既読 奥寺 -じゃ、家来いよ!
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