白と黒の、マーブル模様

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  「自国の文化が全てだなんて思わないでくださいね」 「え?」 その意味を聞こうとしたのに、ヤンは「話は終わりだ」と言わんばかりに私から目を逸らし店内の時計を見る。 「時間は大丈夫ですか?」 「あ、うん。もう行かないと。…お花、ありがとう」 「いえ。では」 ヤンは自分の肩に降り積もった雪を払い落とすと私に背を向け、さっさと店内に戻る。 その背中はすっかりいつもの無愛想な店員だ。 「……」 …ヤンの人物像が、さらにわからなくなってきた。 そう思うのは、私が知ることを欲してしまったからだろう。 手袋と薔薇を眺めていると胸の奥からじわじわと疼きが込み上げ、口元が緩んでくる。 バッグの底から着信を知らせる無粋で不快な音がした。 それが綺麗な雪夜を台無しにしているようで、気付かない振りをしながら公園に向かいゆっくりと歩き出す。 雪の中、想うのはヤンの黒曜石のような瞳だけだった。  
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