第2話 契約しようぜ

契約しようぜ

この日は、女の子たちの腹の虫の居所が悪かったのか、いつもよりもさらに辛く当たってきて、黙りこくっているあたしを突き飛ばした。

それをたまたま学が見ていて。

学が女の子たちに怒鳴っている姿を見て、そのあとあたしをやさしくなだめてくれた学を見て、あたしは思わず涙を流した。

大丈夫だと強がっていたけれど、ほんとは辛くて辛くて仕方なかったんだ。

そして足をくじいてしまったあたしを、学はおんぶして保健室まで連れていってくれた。

あのとき、学の背中が物凄く大きくなっていたことに驚いて、学を男の子だとさらに意識するようになった。

それからの学はあたしとの距離を以前のように戻し、それと同時に他の女の子たちにも軽く触れたり名前で呼んだり、あたしと同じように接するようになった。

学が他の女の子に触れるのを見るのは凄く辛かったけれど、学は学なりに考えてくれたことだったからなにも言えなかった。