甘党な彼の好きなもの

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こんなにも近所にあったはずなのに、私はこれまで、この建物に足を踏み入れた事がなかった。 「夏目先生いますかー?」 ノックの後、ゼミ室の扉が開かれる。 大学の研究室。 非常勤講師用に設けられた小さな部屋で、私は必死に補講のレジメを作っているところだった。 「はーい、どうしたの?」 まだほとんどの学生たちと面識がない私。 それでも、6月に休職した講師の代理として、これからこの大学で教鞭を振るわなくてはならない。
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