11人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ?お、おい!?何故泣いている!?」
「だ、だって、うれしくて…う、うれしくて…」
優にとって、彼女が病気の事を関係ないと言ってくれた。その言葉がとても嬉しかった。優は流れる涙を服の裾で拭い、「ありがとう…ありがとう…えっと?名前……?」
「そういえば、まだ、名を名乗ってなかったな。私の名は、ルナ・クロノウェル。ルナと呼んでくれ」
「ぼ、僕は九条優……ゆ、優って呼んで」
「あぁ、よろしく。優……」
ルナは手を差し出した。
「う、うん!こちらこそよろしく、ルナ!」
優はその手を握った。
それから二人は、ベッドに腰かけ色々な話を始めた。
好きな物や嫌いな物、ルナが見てきた外の世界の事、優が今まで読んできた本の事など、本当に色々な話をした。
一時間ぐらい話しただろうか、その時には、最初にあった緊張などは消えており、会った時からどうしてもルナに聞きたいことがあった。
「ねぇ、……ルナ、聞きたいことがあるんだけど?いいかな……?」優は恐る恐る訊く。
「ん、聞きたいこと?私のスリーサイズか?君は本当にエッチだな、フフフ」
ルナは足を組み、目を少し細め、小悪魔のように微笑をもらした。優はルナの言葉や仕草に胸が熱くなり、顔を赤く染めた。
「ち、違うよ!それに、僕はエッチなんかじゃないよ!」
優は手をあたふたさせ、精一杯の否定も見せる。
――うう、病気の時とはちょっと違うけど、身体や顔が熱い。それに……恥ずかしくて、ルナの顔が見れない。
優はルナを直視しないようにと、出来るだけ視線を下の方へと下げていく。
しかし、そんな優の反応に、ルナは悪戯心に近い愉快そうな表情を浮かべていた。
「フフフ、冗談だ。君は可愛いな……君を見ていると、思わずからかいたくなるんだ」
ルナはそう言うと、優の顎を両手で触れ、顔を上げさせる。その所為か、優とルナの距離が近くなっていた。
ルナのルビーのような紅い瞳、雪のように白く、透き通るような肌、桜色の柔らかそうな唇、そして、月の光が反射して輝く銀髪、それが優の視線を魅了し、意識してしまうと同時に、胸の鼓動がさらに熱く高まり、顔を真っ赤に染め上げ、あたふたしてしまう。
「フフフ……君は本当に可愛いな」
最初のコメントを投稿しよう!