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ルナは微笑み、満足した様子を見せるが、流石に本題に入らないといけないと思ったのか、ルナ自身から話を切り出した。
「さて、君をからかうのはこれくらいにして、聞きたい事があるのだろ?」
ルナは優の顔から手を離し、少し距離を置き、聞く姿勢をとる。
優は自分の心を落ち着かせ、聞きたい事を訊いた。
「う、うん。ルナは、どうして空を飛んでいたの……あと、誰かに追われているの?」
最初にルナを見た光景を思い出す。
月の光に照らされながら飛んでいるルナの姿を……ルナが部屋に入ってきて、匿ってくれと言った最初の言葉を……
「……そのことか……そうだな。君には話しても良いかもしれない」
ルナは神妙な顔つきで話始めた。
「最初に……匿ってと言ったのは……私が、ある人物に追われているからだ…」
優はその言葉に、思わず息を飲んだ。
「あ、ある人物?……も、もしかして、悪い人がルナの事狙っているの!」
優はルナが悪人に狙われているのを想像してしまい、不安の表情を浮かべる。
しかし、そんな優の考えが、ルナにとっては手に取るように解ったのか、あまりにも可笑しく、あまりにも可愛くて、
「――フフフフ、フハハハハ、君は本当に可愛いな。一生懸命考えている姿がとても可愛らしい」
ルナは目尻に涙を浮かべ、お腹を抱えながら笑った。
そんなルナの様子に優は「え、え!?」と困惑と疑問が混ざったような声を洩らした。
「フフフ、でも、大丈夫だ。私を追っているのは私の友人だ」
「えっ、友達?悪者じゃなく?」優はルナのその一言に、間の抜けた声を上げた。
そして、ルナはよほど優の言葉が笑いのツボに入ったのか、また愉快そうに笑った。
「フフフ、フハハハハハ!悪者って、私は一度も悪い奴に追われているとは言ってないぞ」
「で、でも、なんで友達に追われているの?」
「それは………」
張り詰めるような神妙な空気が流れる。
「それは?」
「私がその友達に悪戯したからだ」
さっきまでの雰囲気や心配がバカらしく感じた。
「ル、ルナ……その友達になにしたの?」優は恐る恐る、ルナに尋ねる。すると、ルナは愉快そうな声音で、
「ん、なぁに、大した事はしていない。まぁ、君がどうしても聞きたいと言うなら話すだけではなく君にもしてやるぞ……フフフ」と微笑と小悪魔のような表情を浮かべて囁いた。
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