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ルナは何か思いついたのか、優の所まで降下すると、優の手を握り締め、
「君も一緒に飛ぼう」と告げた。
そして、その瞬間、優の身体の重力が消えた感じがした。
「えっ!?」突然の事に驚愕の悲鳴を漏らす。
優は自分の身体に何が起きたかを確かめるかのように周囲を見渡す
視線がゆっくりと、ゆっくりと上がっていく。さっきまであった服越しの感じるベッドの感触が消える。そこで、ようやく理解した。自分が宙を浮いていると。
「うわぁ………あ…」感嘆の声が洩れた。
――浮かんでいる……いや、飛んでいる!ルナと一緒に、僕は飛んでいる!!すごい……すごい!
「ルナ、すごいよ!僕達……僕達、飛んでいるよ!」
「あぁ……飛んでいるな、私達は」
それからは本当に楽しい時間を過ごした。
話したり、家の中にあるゲームなどで遊んだり、飛びたいとお願いすると、ルナと一緒に飛んだり……時には、ルナが優をからかって遊んだり、しかし、それは、優にとっては初めて誰かと遊んだ経験だった。
「ふぁぁ……ん、ん……」口から欠伸が漏れた。目元が力なく垂れ下がり、半目になっていた。
それもそのはずだった。時計の針は早朝の五時を差していた。普通ならば、まだ夢の中のはずだが、優は病気で苦しみ、満足に眠る事すら出来なかった。
――けど、もっと、ルナと遊んでいたい。もっと、お話しがしたい。この時間を、終わらせたくない。優は眠気を振り払おうと、瞼を擦るが、優の意思とは無関係に、瞼は下の方へと降りてきてしまい、眠気が覚める気配はなかった。
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