第1章 プロローグ

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 自分で言って、何故こんな事を聞いたのか、正直優自身わからなかった。  なんで彼女が空を飛んでいるかとか、君は誰かとか、色々聞く事はあったのに、何故か、無意識この言葉が出た。  そして、優の声が届いたのか、少女はこちらを振り向いた。  しかし、その刹那、風のような物凄いスピードでこちらへと向かって来た。 「えっ!?」  優は少女がこっちに向かってくることに驚いたのか、後ろへと下がる。  しかし、その拍子に足を絡ませてしまい「うわぁっ!」と情けない悲鳴を上げながら、ベランダの外から部屋の中へと、倒れる。 肘やお尻を床に強打するが、痛みはなく、いや、痛みが感じられないほど、優の全神経は少女へと集中していた。  少女はベランダの窓から部屋の中へと飛び入り侵入すると、俊敏な動きでベランダのスライドドアとカーテンを閉め「すまない少年。匿ってくれ」と幼い声に関わらず、大人のような口調で謝罪を口にした。  優は少女の咄嗟の行動に呆気に取られたのか、ただ頷く事しか出来なかった。  少女は優が頷いた事を確認すると、カーテンの耳の部分を指先で摘み、少し開け、覗きこむ。 時計の針の音が淡々と聴こえる。あれから少女は瞬きをしてないかのように視線を集中させていた。 あれから、何分か経った頃、少女は「………やっと行ったか……」と安堵し、カーテンから手を離した。 「ありがとう少年……助かった」  少女は振り返り様に優しく微笑み、透き通るような声音で感謝の言葉を綴った。 「あっ、えっと、ど、どういたしまして]  急に話しかけられた所為か、戸惑いと緊張の表情を浮かべ、慌てて言葉を返した。 身体の中から心臓の鼓動が慌ただしく鳴る。正直、どう対応したらいいか分からなかった。 もちろん、空から降ってきた少女がいきなり家へと入ってきたという事実に動揺し、混乱するのは当たり前のことだろう。けど、優にとってはその事実よりも、初めて自分と同じくらいの少女と話している事実の方が強く、どうすればいいかわからない状態だった。 「それと……いきなり家に侵入してすまない。少しばかり急いでいて……そこで、何かお礼をしたいのだが……私に出来る事ならなんでも申してくれ」
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