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突如教室に現れたそいつはゆっくりとこちらに歩いてくる。
しんとする教室内。
男は俺の前まで来ると跪いた。
「紫乃、貴方を待っていました」
その行動にさっきまで静かだった周りがざわざわとしだす。
きれいな黒髪に整った顔立ちをしたこいつの名前は時雨。
俺のひとつ上で3年生。
「時雨、なんでここにいるの?俺、今日くるなんて教えてないんだけど」
時雨は俺を見上げ肩を震わせた。こいつは俺の目に見下されるのが好きらしい。この変態が。
「っ…紅華に聞きました。あぁ、紫乃っ紫乃!」
縋るようにのばしてくる時雨の手を払いのけそのまま容赦なくきれいな顔面を膝で蹴り上げる。
突然のことに顔を歪ませた時雨は大きな音を立てて横の机へと打ち付けられた。
数人の生徒が時雨へと駆けつける。
生徒たちに起こしてもらう時雨を横目で見ながら俺はもう一度前を見据え挨拶をする。
「はじめまして高月紫乃です。よろしくおねがいします」
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