第2話 ソラに近い 1

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……何を、考えてるんやろう。 答えは出ず、エレベーターは売り場に止まりながら、14階に着く。 壁や天井にある案内に従い、長いエスカレーターを、無言でふたりは上がっていった。 美術館を併設した、展望台に向かうエレベーターがある16階は、平日だが人で溢れている。 だが、先月、杉田が妹と訪れたときは休日で、倍以上の人間が居た。 展望台に上ると言い出した妹は、行列に耐えれないと諦めてくれた。 状況と相手から、今日は、逃れられそうにない。 眺めが見える透明な壁の向こうを、杉田は見ずに、リリコに続いて、チケットカウンターへ向かう。

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