6人が本棚に入れています
本棚に追加
「待ってくれよ、こんな話聞いてないよ!」
ランニングシャツの太った男が、スピーカーに向かってわめいた。
「なあ、『マネージャー』さん、話が違うぞ!簡単に短時間で金になる方法があるっていうからここに来たのに、こんなことやらされるなんてことは聞かされてないじゃないか!」
「おいデブうるせえよ」
赤いメガネの中年男性が、ランニング男を黙らせるよう低い声で言った。
「『簡単』で、『短時間』で金が入るってことは間違ってないじゃねえか。そんな話だったら、大抵こんなことやらされるぐらいの覚悟しとけや」
「そんなこといったって、こ、これ、殺し合いだよ!おれたちに鉄砲持たせて撃ち合いさせるだなんて殺人じゃないか!法律違反だ!おれ、こんな部屋出てやる!」
「…静かにしなさい」
初老の、ジャージ姿の男が言った。
「勝てばいい。そうすれば『マネージャー』のいうとおり、1人2000万円もらえるんだろう?最初から負けを認めてどうすんだい?」
それでも騒ぐランニング男に、赤メガネは強引に怒鳴りつけた。
「黙ってろ!」
水をうったように、その場に静寂がおとずれた。ジャージの男が室内に集った6人の顔を1人ずつ確認してから言った。
「とりあえず、名前を名乗らないか、みんな。…まあ、実名は無理だろうから、あだ名だな」
最初のコメントを投稿しよう!