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「さあ、どうぞ椅子にお座りください」  スピーカーから流れる『マネージャー』の言われた通りに、男たちは空いている席へと腰掛けた。 皆、無言だった。照明の不安定な光が、7人を幻影のように照らし出している。  スーツ姿の、赤いふちの眼鏡をかけた中年の男性。  ランニングシャツを着た、太った男。  ロックバンドを意識したかのような派手な服装、派手な髪型の青年。  青いYシャツを着た、細身の男。  不気味に口元に笑みを浮かばせた、黒いスーツに金色のネクタイをした細目の中年。  がくがくと怯えている、安物の服を着た気弱そうな若者。  1番年齢が高そうな、頭の禿げかかったジャージ姿の初老の男性。 「今から私のエージェントが1人、そちらへ行きます。どうぞリラックスしてお待ち下さい」
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