ヴァーミリオン・ゲートはどこだ

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「ラ~ラッラ、ラ~ラッラ、ラ~ラッララ~ラ~」 もう何度目か分からない『マイフェイバリッドシングス』を熱唱しつつ、 「ラ~ラッラ、ラ~ラッラ…」 頭の中でリフレインし続けているのは『そうだ、京都へ行こう』というあの有名なナレーション。 いいの、どうせアホだし音痴だし。すぐに来る市バスを待てずにタクシーに乗りここまで来たものの、早すぎるこの時間帯に観光客らしき姿は私以外には見当たらない。 いや、関係者さえも見かけないまま辿りついてしまった居並ぶ朱の鳥居を前に、作中に登場する主人公同様、異空間に自分が紛れ込んでしまったかのような錯覚さえ起きてしまいそうで。 「ラ~ラッラ、ラ~ラ~、うぁ!?」 石段の縁につま先がツンと引っ掛かると同時に私の膝はガクンと石段へと叩き付けられた。 うん、痛い。 「…ていうか、ハトメさん。カドワキさんのお店はどこにあるんでしょうかねぇ」 夜行バスに揺られて普段の睡眠不足はすっかり解消されたはずなのに。私は今、現実とフィクションの区別がつかないくらいにぶっ壊れているようだ。
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