1.妖精の指輪

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 その後飲み物を買うために結局コンビニへ立ち寄り、とあるマンションの前に 到着した。  何度みてもかなり家賃が高そうだ。  このマンションの最上階の20階が目的地である。  陽菜と共に中へ入り、借り受けてあるスペアキーでオートロックを解除した。  壁や床は白を基調としており、清潔感が保たれている。  広く明るいフロントを抜け、エレベーターへ。20階を目指す。 「そういや今日は巫女の仕事はしてないのか?」 「毎日する必要は無いわ。  バイトの子だっているしね。もちろん素人だけど」 「大丈夫かよ」 「大丈夫よ。  異変なんてほとんど起こらないし、結界も張ってあるわ。  それにこの辺りの〃現代魔術師〃は私とあなた、それに恭子さんしかいないじゃない」 「そりゃそうだけど……」  そんな話をしているうちに目的の階へ辿りついた。  エレベーターから降り、俺達の事務所へと向かう。  外を見やると夜景が綺麗だ。  月も夜空に大きく輝いており、本当にウサギが餅をついてーー 「……ねえ、蓮香」 「ん?  ーーは?」 「え?」  のほほんとしていた次の瞬間、眼前が白くモフモフした何かに覆われる。  そして身体に何かが倒れ込んでくるような衝撃を受けた。
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