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パァンと乾いた音が耳を貫く。
同時に頬にじんじんとした痛みが走った。
そこで今俺が何をするべきなのかを思い出す。
「すまん! ありがとな!」
俺をひっぱたいた黒髪の女の子にお礼を言い、再び走り出す。
断っておくが、そういう趣味は無いからな。
「全く考えていた以上に厄介な『アーティファクト』だ」
「本当にね。
ま、私は日頃のストレス解消が出来たから良いけど」
「おい!?」
「あ、右に曲がるわよ」
前方にはふよふよと浮いたまま逃げていく指輪。
彼女の言う通り道路の突き当たりを右折した。
「このまま埒が明かないな。挟み撃ちにするか?」
「少しは考えなさい。
1人で追跡中にさっきみたいになったら、誰が元に戻すの?」
「ぐ……確かに」
「それにあの指輪も力を使ったから、動きが鈍い。
だからもう2~3回やられてきなさい。そうすれば捕まえられるわ」
「俺がかよ!」
「躊躇なく女の子を叩けるなら私でもいいわよ」
「……やられてくるよ」
アーティファクトのせいとはいえ、女の子を平手打ちするのは敷居が高過ぎる。
あー、もう。どうしてこうなった!
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