1.妖精の指輪

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「いらっしゃいませ」  店内にお客さんが入って来たため、ほぼ条件反射で挨拶を口にする。  ここは某大手ハンバーガーファストフードチェーン店。  俺こと平野蓮香(ひらのれんか)は高校1年の時からアルバイトを始めて、早1年が経った。  最近は厨房でハンバーガーを作るだけではなく、カウンターもやらせてもらっている。 「あ、蓮さん。  私が注文受けます」 「じゃあお願い」  そう告げてきたのは最近入ったばかりの1つ年下である芹澤里美(せりざわさとみ)さん。  みんなからはセリと呼ばれている。  小顔でまつげは長く、パッチリとした瞳が映えている。  処女雪のような色白の肌にふっくらとはさた桜色の唇がアクセントを与え、更にそれが可愛さだけではなく、色気をも醸し出していた。  ワクドナルド制服である藍色のワイシャツに黒のスカートを纏っている。  半年ほど前に制服が変更されたのだが、以前の方が良かったというのは俺だけではないはず。  それは置いておいて、一応俺は彼女の教育担当だ。  最初は断ったが、店長が「大事な経験だよ」とか何とか色々な理由を付けて来て、結局やらされる羽目になった。  まぁ、可愛い女の子だったから役得と言えば役得だったけどさ。
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