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その後もしばらくいつも通りに働き、気づけば後30分程で上がりだった。
「ふぅ、あと30分か。
確かセリも同じだっけ?」
「はい。
あ、あのそれでもしよろしければ一緒にーー」
セリの言葉を遮るように自動ドアが開きお客さんが入ってきた。
当然マニュアル通りに挨拶を発する。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃーー
うげ……」
良く見知った黒髪の少女が入店してきた。
そして逃げる暇なく、目が合ってしまう。
まるでゴルゴンの瞳のように、その場から動けなくなってしまった。
心中で盛大な溜め息をつき、
「セリ、ここは俺が受けるからラウンドしてきてもらっていい?」
「……わかりました」
俺の態度を訝しげに見つつも、セリはダスター(布巾)を持って客席へ向かった。
ちなみにラウンドとはテーブルを拭いたり、椅子を直したり、ゴミを変える仕事である。
俺はカウンター前まで歩いてきた少女に、精一杯の作り笑いを浮かべる。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ええ、店内でホットコーヒーとアップルパイ。
砂糖とミルクはいつも通りで」
「はいはい。
お会計200円です」
会計を済ませると、少女は口を開いた。
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